平均女子だって恋をする

想定外の事で言葉を失っていると、

「その制服、清南だろ?違うの?」

と、眉間にシワを寄せて聞いてきた。
ますます目つきが悪い。


あ……えっと、
もしかして…『コレナガ』??

やっと私の頭が回転し始めた。


「あっ、そうです。クラス委員です。
もしかして、コレナガくんですか?」


「やっぱそうなんだ。この辺で清南
通ってるヤツなんてそうそういねーし。
…担任から電話あってさぁ、クラス委員の女子がたまったプリント持って行くから家にいろって連絡あったから待ってたのに、来ねーんだもん」


「あっ、道に迷ってしまって…」

怖さと方向音痴という恥ずかしさで
うつむきながら答えた。


「ふーん。おれコンビニ行ってたから
行き違いになったかと思ったよ」

……

……


沈黙がさらにこの状況を怖くしている。



「じゃあ…これプリントっ!」

大量の紙を押しつけ、そそくさとこの場を去ろうとすると、


「待てよっ!」


!?


こ、こわいっ!!

ヤンキーに腕をつかまれて恐怖で
声がでない。


「あのさぁ、ついでに勉強教えてくれない?」


えっっ!?

そのナリで『勉強』って言った??


驚いて固まっていると、

「こんなこと頼んでメーワクだと思うけど、オレ初っぱな出遅れたからさぁ…」

バツの悪そうな顔で地面に視線をおとしている。


案外怖いヒトではないのかも…?
同級生だし。

いや、待てわたし。
彼はヤンキーだぞ。

心の中で自分にツッコミを入れる。


………



「うん。いいけど…学校に来てくれれば
教えるけど?」

とりあえず、この手を離してほしいし、
もう帰りたい気持ちが勝って、
つい言ってしまった。


「マジでっ!?サンキュー!!
じゃあ、明日の放課後からってことで。
で、名前なんての?クラス委員さん」

「神崎亜梨沙(カンザキアリサ)です」

「オレ、是永優也(コレナガユウヤ)。
よろしくなっ、神崎さん!」

目の前のヤンキーは意外にも人懐っこい笑顔を向けた。






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