☆Friend&ship☆-季節はずれのモンスーン-
それからは、なんだか夢を見ているようだった。
いや、それまでが夢で、現実に急に覚めたようだった。
隣村まで飛んでいったウィングは、その村で暴れまわる“悪魔さん”を見た。
なので、そのまま谷の方へとふらふら飛んでいった。
あの谷川をただただ歩いてくだった。
どこに行きたいのかは分からなかったけど、ただ歩き続けた。
途中で眠くなることがなくなり、おなかも減らなくなった。
喉も乾かなくなって、疲れることもなくなった。
涙もなくして、表情すら失った。
ウィングはただただ歩き続けた。
それはまるで、ぜんまい仕掛けのおもちゃのようだった。
「きゃぁ!!子供が、子供が谷に!!」
「どうしたんだ!!何があったのか話してごらん」
「…」
そしてウィングは言った。
孤児院か教会に、入れてくれないか。
「君、名前はなんて言うんだ?兄弟や、家族の名前は?」
ウィングは静かに笑って、人懐っこく言った。
「クリアス=ウィング!!母ちゃんも父ちゃんも、俺が赤ん坊のころに死んじゃって。兄弟は…」
そしてへらっと笑う。
「誰もいないよ!!」
現実なんて、こんなものだ。
誰にも疑われることなく、ウィングは孤児院に入った。
それからは、人の目を気にして生きるようになった。
人を支配し、思いのままに操る。
成長すればするほど、立ち回りはうまくなっていった。
敵は一人もいない。
だが同時に、友達もいない。
それでもいい。
人は最低、衣食住があれば生きていけるのだ。
そこに“愛情”が入る余地はなかった。
そうやって生きてきたのだ。
これからも、それからも。
そうやって、生きていくのだ…