☆Friend&ship☆-季節はずれのモンスーン-

それからは、なんだか夢を見ているようだった。

いや、それまでが夢で、現実に急に覚めたようだった。

隣村まで飛んでいったウィングは、その村で暴れまわる“悪魔さん”を見た。

なので、そのまま谷の方へとふらふら飛んでいった。

あの谷川をただただ歩いてくだった。

どこに行きたいのかは分からなかったけど、ただ歩き続けた。

途中で眠くなることがなくなり、おなかも減らなくなった。

喉も乾かなくなって、疲れることもなくなった。

涙もなくして、表情すら失った。

ウィングはただただ歩き続けた。

それはまるで、ぜんまい仕掛けのおもちゃのようだった。


「きゃぁ!!子供が、子供が谷に!!」

「どうしたんだ!!何があったのか話してごらん」

「…」

そしてウィングは言った。


孤児院か教会に、入れてくれないか。


「君、名前はなんて言うんだ?兄弟や、家族の名前は?」

ウィングは静かに笑って、人懐っこく言った。

「クリアス=ウィング!!母ちゃんも父ちゃんも、俺が赤ん坊のころに死んじゃって。兄弟は…」

そしてへらっと笑う。

「誰もいないよ!!」


現実なんて、こんなものだ。

誰にも疑われることなく、ウィングは孤児院に入った。


それからは、人の目を気にして生きるようになった。


人を支配し、思いのままに操る。

成長すればするほど、立ち回りはうまくなっていった。

敵は一人もいない。

だが同時に、友達もいない。

それでもいい。

人は最低、衣食住があれば生きていけるのだ。

そこに“愛情”が入る余地はなかった。


そうやって生きてきたのだ。

これからも、それからも。

そうやって、生きていくのだ…
< 77 / 161 >

この作品をシェア

pagetop