六十年後のラブレター
優子は静かに目を開けて記憶を遮断した。
「なぁ、たっちゃん、鬼ごっこしよう!」
突然の言葉に、達也は目を見開いた。
「なにをゆうとん!?二人とも、もう子供じゃないが!」
「いいじゃん、久しぶりに。懐かしくなったんよ。」
輝くような優子の笑顔を見て、達也は仕方なく微笑んだ。
「叶わんなぁ。」
二人はこの幸せがあたりまえのように永遠にそこにあるものだと信じていた。
しかし時はゆっくりと、確実に流れていったのだった…。