六十年後のラブレター
達也は続ける。
「人がようけい死んでいって、町も野原も焼きつくされて、人間は何を求めとるんかな。」
そう言うと達也は立てていた片膝を両手で覆い、顔をうずめた。
優子が達也の顔をのぞきこむ。
「父さんが、帰ってきたんよ。」
震える声で言葉を吐く達也。
「よかったなぁ!」
優子はその言葉の意味が分からず、明るく言った。
達也がゆっくりと顔をあげる。
真っ赤に染まった瞳を見て、優子は言葉を失った。