蒼いパフュームの雑音
6.褐色
翌週。
トウキョウドーム。

日差しは暑いけど、すっかり秋の風になった9月。



昨日の夜、京果さんから連絡があり、このライブの後、ご飯でも食べようとゆう話になった。

未奈とはドームの近くにあるレストランで待ち合わせをした。

先に着いていた私は、アイスコーヒーを頼み、ドームへ向かう人の流れを眺めていた。

思い思いの格好をして、みんな口元は微笑んでいた。


10年前の私は、こんな事が起きるなんて、頭の隅にも無かった事だ。

アイスコーヒーにミルクを入れた時、未奈はやって来た。

「お待たせー!凛さんから電話来てさ!パス出すからナカウチ出ればって!」
「ちょっと!未奈、声大きいっ!」

未奈は興奮すると声が大きくなる。
しかも、rosé rougeのファンが沢山居るここで、その内容はマズイ。

「あ、そか。ヤバ。」

座って、私のアイスコーヒーを飲んだ未奈は、極端に小さい声で、

「紅も行かない?凛さんから京果さんのモデルの件聞いたよ!パスは紅の分もあるみたいだし。」
「パスで入ったら、関係者席でしょ?楽しめないよ。」 
「チケットはあるんだからいいじゃない?紅はチケットの席に行けば。」

何だか自分勝手だなぁ。

「わかったよ。」

私達は、関係者受付でパスをもらい、未奈は決まった席へ、私はチケットの席へ行った。

SEが始まり、メンバーが登場して、眩しいステージは散る間際の花のように咲き乱れていた。

椎名のドラムソロが始まって少し経った時、何だか悲しくなってきた。

素直にライブが楽しめてない。

中途半端な気持ちで、来ちゃった自分が悪いんだ。

あの時、すぐに連絡していれば、もうちょっと楽しめたかもしれない。



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