蒼いパフュームの雑音
6:30
開場すると瞬く間に女の子達で一杯になる。
入り口付近のドリンクカウンターやステージの前も後ろも。
お気に入りのメンバーの前を陣取る為に人をかき分けて前へ行く子。
お決まりのフリをするのにスペースを確保する子。
鏡で化粧を直す子。
みんな大好きなメンバーに会う為に準備をしている。
ホールに入ってすぐ、左側に二階へ続く階段がある。
いわゆる関係者席だ。
関係者席っていっても特別な事は無く、ただ少しスペースが確保されているだけだ。
階段を登ろうとすると、後ろから咲良が声を掛けてきた。
「紅っ!要くんが呼んでるわよ!」
「え?」
要さんが私を呼ぶ時は大体パシリの時だ。
いつも何かを頼む時、なぜか私を指名する。他にもスタッフ居るのに。
人混みを掻き分けて、さっきの階段を降りて楽屋へ向かう。
コンコン
「おつかれさまでーす。紅ですけど、、、」
そこには鏡の前に座る柊と先ほどのピンヒールの女、瞳が居た。
明らかに、私に敵対した視線を無視して、
「要さんは?」と、
柊にたずねると、
「またパシリ?もー、紅ばっかりに頼むよなー。あんまりわがまま聞かないでいいからな?」
ニコッと微笑んで指差した方に要は居た。
「あー!紅ちゃん!ごめん!スタッフ1人休んじゃって、関係者席でビデオ回してくれない?」
「ビデオ?いいけど?」
「おー、助かる!ありがと!打ち上げ出るでしょ?飲もうなー!」
私はどうしよっかなーっという顔で、ビデオカメラと三脚を受け取り、二階の関係者席へ向かった。
ビデオをセットして横で待機。
関係者席は綺麗に着飾った女の子と
先輩なのであろう、少し年上のバンドマンやレーベルのスタッフなど、思ったより混雑していた。
まだ始まらないステージを見つめていると、さっきの瞳の事が気になっていた。
(私は彼女みたいに甘えられない。甘えたくない。このバカみたいなプライド、壊せたら何か変わるのだろうか。)
ピンヒールの華奢な足、眩暈を起こすようなムスクの香り、甘い声。
スニーカーとノースリーブのパーカとゆう、気取らない姿の私は、彼女ってゆうよりスタッフだよね。
(ヒール、好きなんだけど動き辛い。でも少しは攻めた方がが良いのかなぁ。)
(そしたら、くだらない毎日から逃げられたりするのかな。)
そんなくだらない事を考えていると、SEが始まりライブが始まった。
黄色い声が会場に響き、メンバーが焦らしながら登場すると、さらにボルテージは上がった。
瞬きの様に変わる照明を眺めていた。
大きなアンプからの音も、目まぐるしく変わる照明も、私にとって心地よい空間。
十代の頃から包まれてきた大好きな空間だ。
その空気の中、ステージの上では大好きな男が四弦を弾いている。
ビデオカメラの液晶に映る柊に、そっと触れた。
私はまだあなたを必要としてる?
ライブが終わった会場は、少し耳が痛いくらいの静寂だ。
三脚とビデオカメラを片付けて楽屋に向かう。
興奮覚めやらぬ少女たちが、ライブの話に夢中になってたり、床に座ってメイクを直したりしていた。
その中、ひときわ目立つ子がいた。
まだあどけなさが残る、ショートカットの瞳の大きい小柄だが顔の小さな、スレンダーな女の子。
目は合ってはいないが、私を見ているのがわかった。
楽屋に入るとメンバーやスタッフが忙しく片付けをしていた。
私も咲良の手伝いをし、メンバーより一足先に彼と会場を後にした。
開場すると瞬く間に女の子達で一杯になる。
入り口付近のドリンクカウンターやステージの前も後ろも。
お気に入りのメンバーの前を陣取る為に人をかき分けて前へ行く子。
お決まりのフリをするのにスペースを確保する子。
鏡で化粧を直す子。
みんな大好きなメンバーに会う為に準備をしている。
ホールに入ってすぐ、左側に二階へ続く階段がある。
いわゆる関係者席だ。
関係者席っていっても特別な事は無く、ただ少しスペースが確保されているだけだ。
階段を登ろうとすると、後ろから咲良が声を掛けてきた。
「紅っ!要くんが呼んでるわよ!」
「え?」
要さんが私を呼ぶ時は大体パシリの時だ。
いつも何かを頼む時、なぜか私を指名する。他にもスタッフ居るのに。
人混みを掻き分けて、さっきの階段を降りて楽屋へ向かう。
コンコン
「おつかれさまでーす。紅ですけど、、、」
そこには鏡の前に座る柊と先ほどのピンヒールの女、瞳が居た。
明らかに、私に敵対した視線を無視して、
「要さんは?」と、
柊にたずねると、
「またパシリ?もー、紅ばっかりに頼むよなー。あんまりわがまま聞かないでいいからな?」
ニコッと微笑んで指差した方に要は居た。
「あー!紅ちゃん!ごめん!スタッフ1人休んじゃって、関係者席でビデオ回してくれない?」
「ビデオ?いいけど?」
「おー、助かる!ありがと!打ち上げ出るでしょ?飲もうなー!」
私はどうしよっかなーっという顔で、ビデオカメラと三脚を受け取り、二階の関係者席へ向かった。
ビデオをセットして横で待機。
関係者席は綺麗に着飾った女の子と
先輩なのであろう、少し年上のバンドマンやレーベルのスタッフなど、思ったより混雑していた。
まだ始まらないステージを見つめていると、さっきの瞳の事が気になっていた。
(私は彼女みたいに甘えられない。甘えたくない。このバカみたいなプライド、壊せたら何か変わるのだろうか。)
ピンヒールの華奢な足、眩暈を起こすようなムスクの香り、甘い声。
スニーカーとノースリーブのパーカとゆう、気取らない姿の私は、彼女ってゆうよりスタッフだよね。
(ヒール、好きなんだけど動き辛い。でも少しは攻めた方がが良いのかなぁ。)
(そしたら、くだらない毎日から逃げられたりするのかな。)
そんなくだらない事を考えていると、SEが始まりライブが始まった。
黄色い声が会場に響き、メンバーが焦らしながら登場すると、さらにボルテージは上がった。
瞬きの様に変わる照明を眺めていた。
大きなアンプからの音も、目まぐるしく変わる照明も、私にとって心地よい空間。
十代の頃から包まれてきた大好きな空間だ。
その空気の中、ステージの上では大好きな男が四弦を弾いている。
ビデオカメラの液晶に映る柊に、そっと触れた。
私はまだあなたを必要としてる?
ライブが終わった会場は、少し耳が痛いくらいの静寂だ。
三脚とビデオカメラを片付けて楽屋に向かう。
興奮覚めやらぬ少女たちが、ライブの話に夢中になってたり、床に座ってメイクを直したりしていた。
その中、ひときわ目立つ子がいた。
まだあどけなさが残る、ショートカットの瞳の大きい小柄だが顔の小さな、スレンダーな女の子。
目は合ってはいないが、私を見ているのがわかった。
楽屋に入るとメンバーやスタッフが忙しく片付けをしていた。
私も咲良の手伝いをし、メンバーより一足先に彼と会場を後にした。