蒼いパフュームの雑音
「こんばんは。あたしにも1番って言ってくれたんですよー。ひーちゃん誰にでも優しいからぁ。」
ああ、またこの手のタイプ。
どうしてこういう子が、ミュージシャンの周りには多いのか。
「そうだね、お互い数ある女の1人同士。頑張りましょ?」
そう言うと 友衣奈がキッと私を睨み、
「ババアがしゃしゃり出てくんじゃねーよ。」
と吐き捨てるように言うと、またカウンターへ戻って行った。
こ、怖い女…
テレビでは高感度上位、CM女王、そんな風に好印象だったのに。
(やっぱり芸能界怖いな…私、色んな意味でやっていけるのかな。)
ビールを二つ持って戻って来た緋色は、今あった出来事を知る筈もない。
私はビールを受け取ると、一先ず今の動揺を隠すかのように、半分ほど飲んだ。
「そういえばさ、昨日のカラオケって何で叩かれてたの?」
どうしても気になっていた。
どっかで見たシチュエーションだっから。
「ん?昨日?なんだっけ?」
あからさまにとぼけてる。
「女の子とトイレに行った。」
「ああ!あれね、あれはー…秘密。今度うち来た時にでも教えてあげるよ。」
「なにそれ。」
怪訝な顔で緋色を見ていたら、入口のガムランボールが来客を知らせた。
入口を見て、ズキンとゆう胸の痛みと共にこれから起こるであろう面倒な出来事への不安か、軽く眩暈がした。
カウンターの友衣奈が嬉しそうに声をかけていた。
「しゅーちゃんっ!こないだ友衣奈の事置いて行ったでしょー?」
「ああ、わりぃ。オマエ飲み過ぎて手に負えなかったから。」
柊だった。
カウンターに座ると、慣れた感じで友衣奈の腰に手を回していた。