蒼いパフュームの雑音



「あ、そうだ。よかったら声、貸してくれませんか?」

「こ、声?」

突然の申し出に返答に困っていると、京果が

「彼女の存在、アピール出来るなら是非!」
「ふふ、京果はいつから紅ちゃんのマネージャーになったの?」
「私が引き入れた世界だから、ちゃんとしたマネージャーが付くまではね。」

まただ。
この世界は当人を置き去りにして話が進む。

「あ、あの…声って…。」

「ああ、ごめんね。女性の声でコーラスみたいなの欲しくて。スケジュール確認して京果ちゃんに連絡するね。」

椎奈は「じゃあ。」と言って奥のスタジオへ入って行った。



私が断るとゆう選択はどうやら無さそうだ。

スタジオに向かう廊下で、京果が言った。

「紅ちゃん。椎奈、気を付けてね。歌録りまでにちゃんとマネージャー付くとは思うけど、椎奈色々と手が早いから。」

「えっ!?」

女性的で、何となく硬派なイメージを持っていたから、京果の言葉が意外だった。


(あの椎奈が手が早い…未奈は知ってるのかな。)





それからの撮影もスムーズに進み、午後8時過ぎには全て終わった。

「おつかれさま!さー、飯っ飯!」
「青柳さんのおごりだってー!」

「紅さん、ご飯行きますか?」
爽やかに微笑む雄太が、私の顔をのぞき込むのと同時に咲良が腕を引っ張り、

「ちょっと、あんたさっきの話、詳しく聞かせなさいよー!」

「う、うん。そうだね、行こうかな。」

やっぱり強引な世界だ。
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