蒼いパフュームの雑音
爆音で始まるライブは、本当に最高だ。
座席も未奈の力でステージが目の前だ。
そして、いつもは動画でしか見れなかった彼らが、今目の前でパフォーマンスしている。
彼らは、このライブを皮切りにワールドツアーがスタートする。
行こうと思えば行ける海外だけど、いまいち喜べなくて、まだ行った事はない。
今回も多分行くことはなく、またしばらく会えないのだろう。
様々な色のライトが、次から次へと変わり、ステージ上のメンバーをまとう。
そして、昔から聞きなれたボーカルの遥希の声に包まれていると、急に酔いが回って来た。
(やっぱり、部屋で飲み過ぎたな。。)
しばらく座席に座っていたが、酔いが覚めることは無く、私は席を立ちホール外のソファーで休んでいた。
目をつぶると、ホールから漏れる音と、人の声のざわめきがくるくると渦になって私の頭の中を走り抜けて行く。
そして、ふと朝もやの様なマリンノートの香りが私の鼻をかすめていった。
はっとして、目を開けて辺りを見回したが、香りの源は見つける事が出来なかった。
なぜこんなに、この香りが気になるのだろう。
どこにでもあるような、でも何故か懐かしくて、胸が締めつけられる様な香り。
「紅!べーにー!」
声に驚き目を開けると、呆れた顔で未奈が立っていた。
「なーにこんなところで寝てるのよっ!」
え?まさか、私寝ていたの?
「ちょっと、大丈夫?ライブ終わっちゃったよ!」
「え!」
見渡すと、会場から人の波が溢れていた。
うなだれる私の横に座り、
「紅っぽくないな。何かあった?」
「いやぁ、色々考える事多過ぎて。最近あんまり寝れて無かったんだよね。」
最悪だ。
あんなに楽しみにしていたライブを、ロビーで寝るなんて我ながら信じられない。
「未奈ぁ、もうやけ酒いこー。」
泣きそうな私の顔を見て、全てを悟ったような顔で未奈は頷いた。
そうして、私は立ち上がり歩こうとすると、向こうから手を振って来る人がいる。
(ん?私?)
自分に振られたのかと思い、手を振り返そうとしたら、隣の未奈が手を振った。
「お疲れ様ですー!いらしてたんですかー?ごめん、紅。出版社の人。先に戻ってて!」
そう、言い残して未奈はその人の元へ行ってしまった。
明らかに不機嫌になった私は、大きく足音を立てて、会場を後にした。
座席も未奈の力でステージが目の前だ。
そして、いつもは動画でしか見れなかった彼らが、今目の前でパフォーマンスしている。
彼らは、このライブを皮切りにワールドツアーがスタートする。
行こうと思えば行ける海外だけど、いまいち喜べなくて、まだ行った事はない。
今回も多分行くことはなく、またしばらく会えないのだろう。
様々な色のライトが、次から次へと変わり、ステージ上のメンバーをまとう。
そして、昔から聞きなれたボーカルの遥希の声に包まれていると、急に酔いが回って来た。
(やっぱり、部屋で飲み過ぎたな。。)
しばらく座席に座っていたが、酔いが覚めることは無く、私は席を立ちホール外のソファーで休んでいた。
目をつぶると、ホールから漏れる音と、人の声のざわめきがくるくると渦になって私の頭の中を走り抜けて行く。
そして、ふと朝もやの様なマリンノートの香りが私の鼻をかすめていった。
はっとして、目を開けて辺りを見回したが、香りの源は見つける事が出来なかった。
なぜこんなに、この香りが気になるのだろう。
どこにでもあるような、でも何故か懐かしくて、胸が締めつけられる様な香り。
「紅!べーにー!」
声に驚き目を開けると、呆れた顔で未奈が立っていた。
「なーにこんなところで寝てるのよっ!」
え?まさか、私寝ていたの?
「ちょっと、大丈夫?ライブ終わっちゃったよ!」
「え!」
見渡すと、会場から人の波が溢れていた。
うなだれる私の横に座り、
「紅っぽくないな。何かあった?」
「いやぁ、色々考える事多過ぎて。最近あんまり寝れて無かったんだよね。」
最悪だ。
あんなに楽しみにしていたライブを、ロビーで寝るなんて我ながら信じられない。
「未奈ぁ、もうやけ酒いこー。」
泣きそうな私の顔を見て、全てを悟ったような顔で未奈は頷いた。
そうして、私は立ち上がり歩こうとすると、向こうから手を振って来る人がいる。
(ん?私?)
自分に振られたのかと思い、手を振り返そうとしたら、隣の未奈が手を振った。
「お疲れ様ですー!いらしてたんですかー?ごめん、紅。出版社の人。先に戻ってて!」
そう、言い残して未奈はその人の元へ行ってしまった。
明らかに不機嫌になった私は、大きく足音を立てて、会場を後にした。