不思議能力連続日記(1話読みきり短編)
団地の回りをぐるりと囲むようにある、私の肩位の高さのフェンス。

一番端の建物裏のフェンスの上に、白い半袖の開襟シャツに、濃紺のズボンを履いた男の人が座っていた。

あれ、この辺じゃ一番の進学校の制服だ。

でも、高校生には見えないくらい大人びた表情の人。

それが第一印象。


彼は長い両腕を広げてフェンスに付き、顎を上に向け、空を見つめるようにして唇から音を奏でていた。

聞いた事のない言葉のリズムなのに、なぜか分かる。



消えてしまう
消えてしまう

全てが消えてしまう

消えてしまえばいい

明日全て消えてしまえばいい

いらない
何もいらない


そんな意味の言葉だと思う。



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