不思議能力連続日記(1話読みきり短編)
男の人は私に気付くと、唇をキュッと結んだ。

すると、歌声がプツリと切れた。


「え……歌ってたの……あなた?」


普段だったら初対面の人に話し掛けるなんて絶対できないくせに、私は独り言のように呟いてしまった。

だって、意外すぎて。


高いところに座ってるし、ここからは距離があるからはっきりは見えないけど、色黒で背が高くて真っ黒な髪がサラサラな高校生男子。

声変わり前の小学生とかならまだしも、とても彼の口から紡がれた音色とは思えなかったから。

でも、実際こちらから聞こえてきていたし、彼が口を閉じると歌声は消えた。


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