美しいだけの恋じゃない
「まずは自分の所に回って来た情報をすべてきちんと受け止めて、内容を熟知した上での取捨選択だよね。そこからして間違ってるんだもん。大切な事を見落としてるからいつまで経っても、勤続年数の割に、動きに無駄があって仕事の処理能力が低いんだよ」


田中さんは苦笑しながらそう解説したあと続けた。


「でも…。井上主任が絡んでるって聞いて、いつもにも増しての彼女のあのエキサイティングぶりにも心底納得だわ」

「ん?どういう事ですか?」


キョトンとしながら佐藤さんが問い掛ける。


「業務には関係ない事だし、別に他人がどうこう言う事じゃないから、二人にも胸の内に納めておいてもらいたいんだけどね」

「?はい」

「自分が体験した事と、他の人から仕入れた情報を併せての推測なんだけどさ…。多分師岡さん、井上主任の事が好きなんだよ」

「え!?」


佐藤さんは驚愕しながら、私は思わず呆然と、同時に同じ言葉を発した。


「井上主任は入社4年目で千葉営業所からここに異動して来て、私もその年に別部署から回って来たから、年齢は2コ違いだけど東京本社営業一課でのスタートは同じなんだよね」

「ああ、それは前にも聞きました。それで、新人同士で組む事になったんですよね。そして未だにそれが続いてると。そう考えたらすごい歴史ですよね」
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