美しいだけの恋じゃない
門倉保の発言は途中から独り言のような呟きに変化して行き、聞き取るのが困難になった。
「おかしいと思ったんだ。彼女が主任に対して特別な感情を抱いている様子なんか微塵も感じられなかったから。ずっと、見守って来たのに…」
何とか声を拾おうと、思わず元いた位置から更に数段上がってしまった。
「彼女の不名誉な噂なんか、本当はどこからも入って来てはいなかったんでしょう?あなたが勝手に作り上げただけですよね?」
再び耳で捉えられるようになった門倉保のその問い掛けに、師岡さんは無回答だった。
彼女は今どんな表情で彼の前に佇んでいるのだろうか。
「馬鹿だ、俺。まんまとあなたに操られて…」
苦しそうにそう呟き、しばし沈黙してから門倉保は再度口を開いた。
「どうしてなんですか?何故そんなに、須藤を目の敵にしているんですか?」
「……だって、無性に鼻につくんだもん、あの女」
数分ぶりに聞いた師岡さんの口調は相手を突き放すような、とても冷ややかなものに変わっていた。
「あの無駄にゴテゴテした造りの、騒々しい顔立ちに相応しい、イケイケ女っぷりを素直に発揮していれば良いものを、必死に清純ぶっちゃってさ。しかも周りもすっかりそれに騙されて、なんやかんやと甲斐甲斐しく世話を焼いてあげちゃうし」
「何を言ってるんですか。ここは職場ですよ?新人をフォローするのは当たり前のことじゃないですか」
「おかしいと思ったんだ。彼女が主任に対して特別な感情を抱いている様子なんか微塵も感じられなかったから。ずっと、見守って来たのに…」
何とか声を拾おうと、思わず元いた位置から更に数段上がってしまった。
「彼女の不名誉な噂なんか、本当はどこからも入って来てはいなかったんでしょう?あなたが勝手に作り上げただけですよね?」
再び耳で捉えられるようになった門倉保のその問い掛けに、師岡さんは無回答だった。
彼女は今どんな表情で彼の前に佇んでいるのだろうか。
「馬鹿だ、俺。まんまとあなたに操られて…」
苦しそうにそう呟き、しばし沈黙してから門倉保は再度口を開いた。
「どうしてなんですか?何故そんなに、須藤を目の敵にしているんですか?」
「……だって、無性に鼻につくんだもん、あの女」
数分ぶりに聞いた師岡さんの口調は相手を突き放すような、とても冷ややかなものに変わっていた。
「あの無駄にゴテゴテした造りの、騒々しい顔立ちに相応しい、イケイケ女っぷりを素直に発揮していれば良いものを、必死に清純ぶっちゃってさ。しかも周りもすっかりそれに騙されて、なんやかんやと甲斐甲斐しく世話を焼いてあげちゃうし」
「何を言ってるんですか。ここは職場ですよ?新人をフォローするのは当たり前のことじゃないですか」