美しいだけの恋じゃない
まさに怒濤の日々だった。


狼狽えまくりの動揺しまくりだったもの。


ホルモンバランスが乱れない訳がない。


日中あんな事態になったのも、妊娠していたからではなく、むしろ生理になる直前だったからなのだろう。


考えてみればいつもそれ前は、何となく体調が思わしくないものだものね。


そこに寝不足も重なったものだから、肉体に大打撃を受けたのだろうと推測する。


色々な事が腑に落ち、私は改めて、深く、長く、安堵のため息を漏らした。


数分前からは考えられないくらい、穏やかな気分だった。


だって……。


私自身がどうのこうのというよりも、こんなタイミングで宿ってしまったら、その命の方が不憫で気の毒だもの。


あらゆる準備をきちんと整えて、親になる覚悟をしっかり持ってから、赤ちゃんを迎え入れたい。


今の私にはそんなの到底無理に決まっているから。


彼の方だってきっと……。


「あ」


そこで遅ればせながら門倉保の存在を思い出した。


そうだ。
すぐにこの事を報告しなければ。


例のアイテムを購入してしまうかもしれないし。


いや。
もしかしたらもう、時すでに遅しだったりするかもしれないけれど…。


とにかく行動しなければ。


私は備え付けの棚を開け、そこに常備してあるナプキンを取り出し、必要な処置を施してから急いでトイレを出た。
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