美しいだけの恋じゃない
「それに私、過去に実際何度か書き間違えたことがありますけど、線で消してその上に適当に書いちゃいましたよ。だってこれ、あくまでも社内の部署間だけでやり取りするメモ扱いだし」

「厳密な訂正処理は必要ないわよね。しかもわざわざ破棄して新しい伝票に書き直したりもしない。むしろ紙の無駄使いになるもの」

「その件については庶務課で確認済みです」


お二人が連携プレーで畳み掛け、門倉保が後に続いた。


「一週間前のゴミが、しかもこんな上の方に残っている訳がないから今週のお茶当番を探し出して、その方に伝票をシュレッダーにかけたかどうか聞いてみましたけど『自分ではない』という返答でした。そして田中さん佐藤さんと同様の事を言っていましたよ。わざわざそんな嘘をつく必要性は全くないですし、それが真実なんでしょう」

「そ、そもそもそれがホントに、正真正銘、須藤さんが書いた伝票だって証明できるの!?そんなバラバラになってるのに!」

「紙片を繋ぎ合わせれば良いだけじゃないですか?」


金子さんの反論に佐藤さんが淡々と答えた。


「担当者の名前を記入する欄があるし。そこに須藤さんのサインがあればビンゴでしょ」

「えっ。これを復元してみせるってこと?」


井上主任がギョッとしたように問い掛ける。


「はい。明らかに他の紙とは色が違いますから、選り分けるのは楽勝ですよ。それに私、ジグソーパズルは大の得意なんで」
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