美しいだけの恋じゃない
「もしかしてその後の行動にまで、野暮な言及をなさるおつもりですか?それ以上のプライベートな事を、職場の皆さんに報告しなくてはいけない義務でもあるんでしょうか?」


「…ないわよね、別に」


田中さんがポツリと呟く。


「言われた方も困っちゃうし。職場でイチャイチャしている訳でもあるまいし、もうとっくに成人している男女が、自己責任でお付き合いをしているんだから、他人があれこれ口を挟んだり詮索したりするのはマナー違反だと思う」

「そうですよね、もう良い大人なんだし。何ら責められる筋合いなんか、ありゃしないですよねぇ」


佐藤さんがウンウンと頷きながら同意した。


「それに二人とも、黙っていれば一応美男、文句なく美女カップルで、すっごくお似合いだと思うし。っていうか私、何となく前々からこうなる予感はしてたんですよねー。若い者同士、これからも仲良くやって行って欲しいなって、純粋に応援したくなっちゃう!」

「部長も、他の営業所にいる時に知り合った奥様とお付き合いして、ご結婚に至ったんですもんね」

「え!?あ、あぁ、まぁな」


突然田中さんに話を振られ、盛大に焦りつつも、部長は肯定した。


そしてコホン、と咳払いをしてから続ける。


「……まぁ、節度を守って付き合って行くなら、何ら問題はないだろう」

「ありがとうございます」
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