美しいだけの恋じゃない
「『ベテランなのに云々』については、その場面をしっかり目撃していましたから。第三者の視点から客観的に証言できると思います」

「あ、それでしたら私も!」


佐藤さんも右手を上げつつ参加表明をする。


「分かった。それじゃあとにかく、今は各々やるべき事に着手しよう」

「はい」


部長の言葉を合図に、カウンター前に居た方達も動き出した。


「……ここで待っていて下さい」


気まずい表情で私に視線を向けて来た金子さんにそう告げると、急いで給湯室へと向かい、新たに伝票を作成した。


内容はだいたい覚えていたので、すぐに書き終える事ができた。


「お待たせしました。よろしくお願いします」


再び営業部に戻り、待機していた金子さんにそう述べながら当該伝票を差し出す。


彼女はそれを受け取り、一瞬何かを言いかけたけれど。


すぐに開いた口を閉じ、結局無言のまま、その場から立ち去って行った。


「須藤さんはすぐに帰れるの?」


自分の席に戻ると、すでに帰る体勢が整っている様子の佐藤さんに問い掛けられた。


「あ、いえ。シュレッダーをかけて、その後漂白した布巾を片付けてこないといけないので」

「そっか。じゃ、私と田中さんは先に上がるね」

「また来週」

「はい、お疲れ様でした」
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