美しいだけの恋じゃない
「え?うそ。じゃあ、他の人のジョッキを間違えて掴んじゃったの?」

「あ、いえ。周りの方はほとんどビールで液体の種類が明らかに違いましたし、それに、その…師岡さんが席まで運んで下さいましたから…」


間違えようがない。


「あら、そうだったっけ?じゃあ私、ついうっかり何かのウーロン割りでも注文しちゃったのかしら~?」


返答に困って無言のまま師岡さんを見つめていると、彼女は突然険しい表情になった。


「え?なに?まさか、私のせいだって言いたいワケ?」

「あ、い、いえ…」

「幹事ってすっごく面倒で大変なんですけど?注文を言い間違えるくらい仕方ないと思わない?っていうか、あなたも子供じゃないんだから、アルコールが入っていると分かった時点で烏龍茶を注文し直せば良かったじゃないっ」


一口でも飲んでしまったらもう後の祭りで、飲み物を変えても意味はないのだけれど、でも、師岡さんはそんな事情は知らないから…。


「す、すみません」


私はすぐさま謝った。


幹事さんにはもっとしっかり、自分の体質について説明しておくべきだったんだよね。


しかし師岡さんの顔は真っ赤で、呼吸も荒く、見るからに興奮状態で、今さら謝罪してもそれこそ後の祭りのようだった。


せっかくフレンドリーに話しかけていただいたというのに、結局不快な気分にさせてしまった。
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