美しいだけの恋じゃない
私を混乱と恐怖の渦に巻き込んでいる張本人…門倉保は、神妙な口調でそう呟くと、先を続けた。
「とにかく、シャワーを浴びてキレイになろう。な?」
「いや!」
私の体の下に差し入れようとしたその手を勢い良く振り払う。
「これ以上、あなたに体を見られるのは、嫌です」
こんな汚れてしまった体を。
「いや、だけど…」
「一人で、行きます」
私はそう宣言すると、ベッドに両手を着いて上半身を起こし、ふらつきながらもそこから降りて、ヨロヨロと左右に揺れながら、執念でバスルームを目指した。
初めての場所で、しかもここに入って来た時の記憶はなかったけれど、それでもその位置はすぐに見当がついた。
ベッドのある部屋から玄関までの間に、それらしきドアは他に存在しなかったから。
パッと見渡しただけですぐに1DKの間取りである事が把握でき、誰かが居住している事が一目瞭然の、生活感溢れるその室内。
わざわざ他人の住まいに連れ込む訳はないから、きっと彼の自宅なのだろう。
そのドアを開くと案の定、内部は、洗面所とトイレと一体型になっているバスルームだった。
私は相変わらず震える足取りで歩を進め、何とか浴槽を跨ぎ、その空間内に収まる。
ひとまず目的地まで無事たどり着けた事に安堵のため息を漏らしつつ、カーテンを閉めた。
「とにかく、シャワーを浴びてキレイになろう。な?」
「いや!」
私の体の下に差し入れようとしたその手を勢い良く振り払う。
「これ以上、あなたに体を見られるのは、嫌です」
こんな汚れてしまった体を。
「いや、だけど…」
「一人で、行きます」
私はそう宣言すると、ベッドに両手を着いて上半身を起こし、ふらつきながらもそこから降りて、ヨロヨロと左右に揺れながら、執念でバスルームを目指した。
初めての場所で、しかもここに入って来た時の記憶はなかったけれど、それでもその位置はすぐに見当がついた。
ベッドのある部屋から玄関までの間に、それらしきドアは他に存在しなかったから。
パッと見渡しただけですぐに1DKの間取りである事が把握でき、誰かが居住している事が一目瞭然の、生活感溢れるその室内。
わざわざ他人の住まいに連れ込む訳はないから、きっと彼の自宅なのだろう。
そのドアを開くと案の定、内部は、洗面所とトイレと一体型になっているバスルームだった。
私は相変わらず震える足取りで歩を進め、何とか浴槽を跨ぎ、その空間内に収まる。
ひとまず目的地まで無事たどり着けた事に安堵のため息を漏らしつつ、カーテンを閉めた。