美しいだけの恋じゃない
「そうよねそうよね。だから私が前々から言ってたでしょー?大人しい顔して、ありゃ相当したたかな女だよって」


何故そんな話の流れになるのか。


「自分と同類で下半身にだらしがなくて、だけど仕事上では上手いこと周りをだまくらかして将来を有望視されている、門倉保は絶対にターゲットにしてると思ってたんだよねー」

「やっぱ……。ヤっちゃったのかな?」

「ヤルに決まってんでしょ!?好色男と尻軽女がああいったシチュエーションで一緒に帰って、何も起きないワケがないじゃん!」


山本さんの呟きに、テンション最高潮で師岡さんが答える。


「仕事中さりげなく二人の様子を観察してたけど、明らかに様子がおかしかったもん。一応業務のやり取りはしてるけど、目はちゃんと合わせないし言葉数は少ないし。何か、普段と同じ雰囲気を醸し出そうとしてるけど失敗しちゃってる、みたいな」

「ああ…。じゃあもう決まりだわね」


半笑いを浮かべている事が窺える声音で金子さんが同意した。


「つくづく策士だわー、あの女。普段弱々しく可憐に『私なんて…』って自己評価の低い演技をしながら、陰で暗躍してちゃっかり上玉を捕まえるっていうね」

「気弱でなおかつ性モラルのハードルが低い女なんて、男にとっちゃむしろ好都合じゃない?」

「だね。やりたい時にやりたい放題だもん」
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