美しいだけの恋じゃない
「うっ…。うぅ…」


体と心の痛みで、私は泣いた。


頭上から降り注ぐシャワーの雨に打たれながら、その音をも凌ぐほどの声を上げながら、ひたすら泣き続けた。


そのまままた意識を失ってしまうのではないかと思ったけれど、不思議な事に、むしろ思考はだんだんとクリアになって行き、ここに至るまでの記憶も徐々に甦って来た。


今夜は私が勤務する会社の、部署内の新年会があり。


仕事を定時で切り上げ、皆さんと共に事前に予約されていた都内の居酒屋へと赴いた。


本来そういった集まりは大の苦手なのだけれど、有志だけのプライベートな飲み会とは異なり、新年会は社内の年中行事、つまり業務の延長線上にあるものだ。


しかもうちの社では、短いスパンで何度も飲みの席を設けても意味がないし負担がかかるという事で、毎年忘年会はやらずに新年会だけを開催しており、言い替えれば配慮の末に設定された、社員同士の交流を図る上でとても貴重で重要な会合であるという事だった。


私の所属する営業一課は内勤はさほどでもないけれど、外回り担当者はなかなかの激務で、それでも皆さん仕事との折り合いをつけて何とか参加しているというのに、去年の4月に入社したばかりの、一番新人である私が欠席するなどというのは言語道断だった。


実際、今回の幹事役の女性の先輩に「もちろん行くよね?」とプレッシャーをかけられてしまったし。
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