美しいだけの恋じゃない
だから当然の流れで出席した。


だけど…。


今なら思う。
やっぱり、あんな集まりなんかに行くんじゃなかった。


もちろん、新年会そのものが悪い訳じゃない。


でも、それに参加した事により、おそらく前々からその機会を虎視眈々と狙っていたのであろう彼に隙を見せてしまい、そしてまんまとつけこまれ、こんな最悪な事態を招く結果になってしまったのだから。


この未来が読めていたなら…。


あの出欠確認の瞬間に戻れるのならば、例え先輩に睨まれようが周りから顰蹙を買おうが、断固として出席を拒否するのに。


だけどもう、この事実を無かった事にはできない。


……だったらせめて、早くこの場から立ち去ろう。


一分一秒でも早く、あの悪魔の元から逃げ出さなければ。


そう決意した途端、体の底から沸々と力がみなぎって来た。


私はすっくと立ち上がり、浴槽のへりの端に置かれていたボディソープを手に取って泡立て、髪も体も関係なしにそれでガシガシと乱暴に洗った。


頭から湯を被り、すべてキレイに洗い流した後シャワーを止め、カーテンを開き、洗面所の棚に常備してあったバスタオルを勝手に使って体はもちろん髪の毛の水分を入念に拭き取る。


着替えようとした所で、肝心の服を置いてきてしまった事に遅ればせながら気が付いた。
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