キミの首輪に、赤い糸を。
4

「ただいま」

「...どう思った?盗み聞きした内容を聞いて」

「...正直、まだあんまり思い出せない。でも、なんか寂しさは込み上げてきた。ちょっとは心に残ってる証拠かな」

「...そっか」


如月さんはそう言って小さく笑う。


「きさらぎ...いや、リョウ...?」

「呼びやすい方でいいよ。俺はどっちの名前も好きじゃないから」

「それは...言ってた酷い父親がつけた名前だから?」

「ああ。そうだよ」

「憎んでるんだね」

「...俺もお前も、アイツのせいで人生めちゃくちゃになったんだからな」

「確かにそうみたいだね。記憶がなくなるなんて、人生何が起こるか分からないどころの話じゃないよ、ほんと」


真白もそう言ってクスクス笑う。

読み取れない。

二人とも感情が読み取れないのは、兄弟だから?
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