キミの首輪に、赤い糸を。

「寂しくないよ」

父は、酷い人だった。

母と離婚してから、いや、する前から最低であることに変わりなかった。

ただ、離婚してからは少し暴力的な行為が増えたってだけで。


「おい、何寝てんだよ陵」


頭上から、声がする。

低く、大きい、少ししゃがれた、耳障りな声。

あぁ、また怒鳴ってるんだなってすぐに分かる。


「...」


俺は静かに目を開けた。


「いつまで寝てんだよ。さっさと飯作れ」


そう言って、まだ横になっている俺の体を乱雑に蹴った。

フローリングの上で寝るのは、やっぱり体が痛いし寒いな。

これからどんどん寒くなっていくし、向いてないな、この季節にこの寝方は、なんてのんきに考えて、俺は朝食を作るために体を起こした。
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