キミの首輪に、赤い糸を。
「...なんだよこれ、お前やっぱ料理下手だな」

「...」

「なんとか言えよ、出来損ない。いや、ただのクズか」


話したくなんて、ない。

だって、俺はアンタの息子だ。
アンタに少しでも似てるなら、俺は自分の声なんて聞きたくない。


「はぁ...ほんとつまんねぇヤツだな」


そう言って父は、また俺を殴る。

本当、飽きないね。
つまんないヤツって、もう何度も聞いた。
聞き飽きた。

そのつまんないヤツに構うなんて、とことん変わった人。
つーか、変なヤツ。


「お前なんかより面白いヤツ探さねぇとな」


面白いヤツ?

あぁ...俺と違って、殴られたら泣き叫ぶヤツとか?
それとも、ごめんなさいって謝り続けるヤツとか?

...そんなヤツになるのは、御免だ。

あんな最低の父親の思い通りのおもちゃになるなんて。

だから、いくら痛くても何も言わない。
弱音も吐かない。

それだけしか、抗う方法がない。
< 168 / 231 >

この作品をシェア

pagetop