キミの首輪に、赤い糸を。
それから少しして、父が家に帰ってこない日が増えた。

俺にとってそれは好都合で、痛みを少しは忘れることが出来る日々だった。

しかし、そんな日が続いて2週間ほどすると、父は家に帰ってきた。

若い女性と、小さな男の子を連れて。


「お前の新しい母親だ。ちゃんと言うことを聞けよ」


女性は父の紹介と共に頭を下げた。

へぇ、そっか。
この女も、性格悪そうな顔してるね。

この親父と意気投合しちゃったって感じ?


「で、彼が真白くん。お前の弟になる」


真白くん、と呼ばれたその男の子は、女性の影に隠れてじっとこっちを見ていた。
< 169 / 231 >

この作品をシェア

pagetop