キミの首輪に、赤い糸を。
「...お母さんが、戻ってくるなって言ったの」


悲しくて、寂しくて。

僕はお兄ちゃんにそう言った。

どこかで分かってた。

お兄ちゃんは、何も言ってくれないって。

だけど、聞いてほしかった。
寂しくて、辛くて、すごく悲しい、この気持ちを。

でもお兄ちゃんは部屋を出て行ってしまった。

やっぱり、僕の話を聞いてくれない。


「ひとり、ぼっちに...なっちゃった...」


口に出すと余計に寂しくなって、涙が溢れた。

お兄ちゃん、お兄ちゃん...。
今は、お兄ちゃんしか頼れる人がいないのに...。

それから少しして、お兄ちゃんは帰ってきた。
泣いている僕を見て、少し怪訝そうな顔をする。

泣いてるのが嫌なの?
ごめんなさい...。
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