キミの首輪に、赤い糸を。
「え、あの、えっと...?」

「あぁ、すみません。色々と説明をしなければならないことがありますね」


如月さんはそう言って、一つ咳払いをした。


「まず、真白は作曲活動を行っているんです。真白はテレビに出ることもあるため、私がマネージャーをしています。ですが、最近少し真白に不調が続き、現在活動を休止しているんです。そして私は真白のマネージャーであり、飼い主でもあります」


うん、作曲活動の流れはなんとなく分かった。
そして、次から話されることがきっと理解が難しいんだろう。


「真白は誰かのペットとして生活することが当たり前になっています。それは彼の失ってしまった記憶に関することで、私から今は話せません。そして、その真白の飼い主が現在は私です。ですが、現在真白は貴女になついています。つまり、貴女が飼い主になることを、真白は望んでいるんでしょう」


ん...?
どういうこと?


「以前から私は彼に言ってきたんです。私が壊れるようなことがあれば、自力で飼い主を探すように、と。そして今、真白は貴女を見つけた。そこで、お願いがあります」


なんとなく、嫌な予感がする。

気になることはたくさんあった。
飼い主を必要とすることも、如月さんが壊れる、という意味も。

でも、それより何より、私が予感したことは...。


「彼を、飼って頂けませんか」


...今如月さんが発した、この言葉だ。
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