キミの首輪に、赤い糸を。
その日にその人は聞いてくれたらしい。

後から聞けば土下座までしてくれたらしく、酒を運んだり後片付けをしたりなどの雑用であることを条件に了承は得た。


「ケイさんに感謝しろよ?俺らみたいな後輩がいることも気にせずに先輩に頭下げてたんだからな」

「...そうっすね」


正直、驚いていた。

自分のためにここまでしてくれる人に会ったことがなかったから。


「じゃあ、頑張れよ、陵」

「...アンタもな」


この人の仕事をする姿を見るのは、初めてだ。
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