キミの首輪に、赤い糸を。
「真白...」

「...もし、お兄ちゃんが今までの時間を失っていると思ってるなら、今から、失った時間を、やり直そう」


真白の優しい声に、如月さんは涙を堪えていた。


「いつの間に...そんなに大きくなったんだ」

「きさらぎのおかげ」


お兄ちゃんときさらぎ。
真白にとって、その二人はいつだって同じ人だった。

だからきっと、失った時間なんて、なかった。


「...ありがとな」


優しい真白の言葉に、如月さんの心も徐々に溶かされていくように見えた。

真白からも、黒い部分は感じなくなって、二人とも、年相応の普通の青年に戻ったみたい。


「じゃあ、帰りましょうか」


私がそう言うと、二人は笑って頷いた。
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