僕の青春。

僕らの性

性って何?
僕にとってはイヤらしい。
だって汚い場所同士をさすり合うんでしょ?
そんなこと僕にはできない。
今はその性教育の授業。
やけに周りがクスクスと笑っている。
何がそんなに笑えるのかわからない。
他の授業みたいに静かにしてればいいのに。
性っていうのは僕はあんまり好みじゃない。
あまりいい気分がしない。
少しだけ拒絶反応がある。
1回だけある友達に言われたことがある。
「澤村ってまだ童貞?」
それどういう意味?
まだって何?
この歳になってヤッてないことがおかしい事なのか?
これは責めてるんじゃなくて、本当に思っていること。
今くらいにヤッてる方が正解なのか?
たまに噂で誰かと誰かがヤッたっていうのを聞く。
それを皆が影で話して笑っている。
別にヤッたっていいじゃないか。
ヤッたってその人の勝手なんだから。
それで妊娠したってなったらまた別の話。
1回川嶋がヤリマンっていう噂が流れた。
嘘ってことはわかってる。
川嶋が違うって一生懸命言ってたから。
でもその噂はまだ消えてなくて。
保健の教師「コンドームの付け方はあまり勢いがあると破れるから、優しく伸ばすんだ。わかったな」
生徒「(ボソッと)お前は女のくせに何回も見てるからわかるんだよな」
クラスメイトの誰かが、川嶋に向かって言った。
僕は川嶋の方を見た。
すると、発言した男子は川嶋の方を見てクスクスと笑っていた。
川嶋は聞こえてて聞こえてないふりをしていた。
でも明らかにムカついてる顔になっている。
その時に川嶋はすぐに僕の方を見た。
迷いもなく僕の方を見たんだ。
なんですぐに僕を見たんだろ?
助けを求めてるのかな?
そう思った僕は口パクで言った。
「気にすんな」
伝わったのか川嶋は安心したように笑顔になった。
「うん」
川嶋は軽く頷いた。
それを見た僕は安心した。
性とは、あまり人を幸せにしない。
どちらかというと人を不幸にする。
だから僕は好きじゃない。
いや、嫌いだ。大嫌いだ。
幼なじみが深く傷ついてるところを見てるから。
いい気持ちがするはずない。
人間というのはデリカシーのない動物だ。
性には弱い。だから情けない。
僕が言うことじゃないけど。
多分僕もそんな時がきっとくる。
あったらほんとに嫌と思った。
…………………………………………………
帰りのHRが終わって僕は川嶋の所に行く。
一也「一緒に帰る?」
ダメもとで誘ったつもりだが、川嶋は笑顔になって頷いた。
今日は朝来た道ではなく、少し遠回りをして帰っていた。
七海「気遣ってくれたの?」
一也「、、、何が?」
七海「さっきのこと」
一也「まぁね、落ち込んでると思って」
七海「何よその言い方!」
一也「だって本当のことじゃん」
七海「まぁそうだけど」
なんで実際のことじゃないのにあんな噂流れたんだろう。
誰から言い出したんだろう。
なんで?どうして?
一也「誰かに恨まれてんの?」
七海「え?なんで?」
一也「普通そういうのって目撃されるから流されるんじゃないの?それなのに違うんだったらお前が嘘ついてるか、嫌がらせされたかのどっちかでしょ」
七海「まぁ、、そうだね」
一也「え?なんか無関心だね」
七海「だって、、めんどいし。もう気にしてないし」
一也「嘘つけ」
七海「は、は!?嘘じゃないし!」
一也「あっそ。じゃあもう慰めてやんねぇぞ?」
七海「別に慰めてとか言ってないし」
一也「あっそ!じゃあスルーするわ」
七海「そうして!」
可愛くない奴だ。
ほんと女子って考えてることがわからん。
そういやまだ勉強してなかったな。
そんなこと考えてたら川嶋ん家に着いた。
七海「じゃあね」
一也「じゃっ」
軽く言って川嶋ん家の逆方向に歩いていく。
七海「一也!!」
いきなり大きい声で呼んできた。
何となくびっくりした、、。
一也「何ぃ?」
すると何だか、川嶋の顔がりんご病みたいに赤くなっていた。
熱でもあるのかと心配になったら。
七海「さっきは可愛くないこと言ったけど、結構あんたの気遣い嬉しかった!」
何だよ。可愛いとこあんじゃんか。
一也「やっぱしぃ??」
七海「うるさい!でもありがとう!!」
ありがとうって言われるとなんか嬉しくなる。
なんでかわかんないけど。
七海「じゃあまた明日!」
一也「ぉう!じゃあな」
そしてまた僕は川嶋の反対側を向き、自分ん家へと向かって歩く。
僕の後ろ姿ってどんな感じなのかな?
まぁ普通か。
それから僕は何だか性のことについて考えながら歩いていた。
普通に考えたら変態がすることだが、妄想というわけではない。
なんで性のことになると皆否定的になるんだろうか。
性教育を教えてる先生だって、詳しく教えてるつもりでも少し抑えめになっているのが分かる。
保健の教師ならきちんと教えてやれよ。
だから今の若者はバカなんだろ?
それも僕が言うことじゃないな。
僕の短所はこういうとこだ。
自分も同じ立場なのに人と比べる。
自分も悪いと思ってるけど。
なかなか自分の短所は直せないものだ。
悲しくなるほど直せない。
自分の短所に気づいたきっかけはお母さん。
僕が愚痴ばっか言ってるとお母さんは、
「あんたも一緒なのによく人のこと言えるね」
と言われた。
当てはまってて言い返す言葉がなかった。
多分僕はいい人じゃない。
優しい人じゃない。
嫌われるべき存在だと思う。
僕も愚痴ばっか言ってるから、いつかバチが当たるかも。
別にいいけど。
…………………………………………………
家に着いてまた大きな声で挨拶をする。
するとまた安心する声で挨拶が返ってくる。
そして僕は迷わずお母さんの所へ行き、
一也「性って何?」
と、聞いてみた。
するとお母さんは洗濯物を畳んでいたはずの手が止まって僕を見る。
八千代「したの?」
一也「したって?」
八千代「セックス」
一也「してないよ!何いきなり」
八千代「だっていきなり変なこと聞いてくるから」
一也「第一、僕がすると思う?」
八千代「だってもうすぐ大人なんだし、してもおかしくない年頃でしょ?」
一也「、、、してなきゃおかしい?」
八千代「うーん、お母さんはおかしくないと思うけど」
一也「ほんと?」
ちょっと安心した。
人生の先輩の言葉は信じなきゃ。
八千代「お母さんにはちょっと早いかなぁ」
一也「そうっすよね!」
八千代「うん!だって自由を手に入れてからにしたいもん」
あ、そういうこと?
てっきり子供関係なのかと。
八千代「でも楽しみたいんだったら今のうちだね」
一也「え?」
八千代「だってこの歳までなっちゃったらできないことはないと思うけど、せっかくピチピチの人としたいでしょ?それに精子の量も減ってくるって言うし?」
一也「精子って減るんだ、、」
八千代「お母さんはもうそんな欲望はあまりないけど、男の性欲は一生って言うからね」
一也「え?待って」
八千代「ん?」
一也「僕、正直言ったら性欲というものがよくわからなくて、、、」
八千代「あんた1人でしたことないの?」
一也「へ?何1人でって」
八千代「だから1人でよ」
一也「1人でできるわけないじゃん」
八千代「そういうことじゃないわよ!オナニーよ」
一也「オナニーって何?」
八千代「だから1人でそういうところを触って快感を満たすこと」
一也「あ、なるほど」
八千代「あんたもうすぐ18だよ?そんくらいわかってなきゃ」
一也「だって、、、なんかあまりいい気分がしない」
八千代「あんた難しい子ね。うーん、あんた恋したことないでしょ?」
一也「まぁ、、ないのかな?」
八千代「本当にずっと一緒にいたいと思える人ができたら、また気持ちが変わるから」
一也「ふーん、、。でも性って僕は嫌い」
八千代「なんで?」
一也「人を不幸にするから」
その一言でお母さんは深く考え込んでいる。
八千代「まぁ確かにそうかも。でも、全部が全部不幸にするわけじゃないよ?」
一也「え?」
八千代「やっぱりこの人としたいって思って、抱いてもらってる時は幸せだって思うよ?不幸にすることもあるかもしれないけど、セックスって面白がってすることじゃないでしょ?」
さすがお母さんだと思った。
よくわかんないけど、確かにそうかもと納得させることができる。
八千代「まぁいつかわかるから。あんただったら絶対」
一也「そうかな?」
八千代「そう!お母さんが保証する!」
一也「そ、そうか」
少しだけ見方が変わった。
お母さんに話してよかった。
もし話してなかったらずっとこのままだった。
自分も性欲で溢れてしまうことがあるのかな。
その時はどうしようかな。
ただお母さんとこんな話をするのは、
すこし恥ずかしかった、、。
八千代「今日お父さん、夜遅くまで仕事で現場で寝泊まりするって!」
一也「あらま、珍しい」
八千代「一也もあと少しでお父さんみたいになっちゃうんだもんねぇ」
一也「うーん、、、」
すると、お母さんは何かを思いついたように僕を見る。
一也「何?」
八千代「今日2人で出かけようか?」
一也「え?あ、まぁいいけど」
八千代「じゃあ早く支度して!」
一也「え?もう行くの?」
八千代「そうだよ!お母さんお腹空いちゃったもん!」
一也「(ボソッと)子供優先じゃないのかよ」
八千代「ん?何か言った?」
一也「あ、いや何もない!」
僕は急いで階段を駆け上がり、制服を脱ぐ
パンツ一丁になった時に、何となくパンツで隠れてる性器を見た。
いつかここがボコッとなる時が来るのかな。
ウゲ、僕なんてこと考えてるんだろう。
気持ち悪っ!
急いで私服をタンスから取って着替えた。
カバンを持ってまた階段を下りる。
下りるとお母さんはもう用意ができていた。
何をそんなに張り切っているんだ。
料理を振る舞ったわけでもないのに。
八千代「よしっ!行こうか!」
一也「う、うん」
家を出てお母さんの車の助手席に乗った。
一也「どこ行くの?」
八千代「レンタルビデオ屋」
一也「DVD借りるの?」
八千代「うん!」
一也「ふーん」
八千代「嫌?」
一也「嫌じゃないよ?」
八千代「なら行くよ!」
お母さんは車を飛ばした。
たまぁに顔を伺うと凄いワクワクしたような顔をしている。
観たい映画でもあるのかな。
僕もなんか借りようかな。
何借りようかなぁ。
アニメ、ドラマ、映画。
映画にしようかなぁ。
ホラー、SF、ロマンス、コメディ、青春。
ジャンルがいろいろある。
あ、そういやCD借りれるんだっけな。
たまにはCDもいいな。
僕もなんかワクワクしてきた。
お母さんの気持ちが少しわかる気がする。
そんなことを考えてたらレンタルビデオ屋に着いた。
車から降りてレンタルビデオ屋に入った。
店員の「いらっしゃいませ」が聞こえた。
と、その途端。
ガシッ
お母さんは僕の手を引いて、2階のDVDの所へ向かう。
へ?なになに?これから何が起こるの?
2階に着くとお母さんは周りの様子を確認してから、どこかに向かっている。
それが数回繰り返されて連れてかれてたら、目の前に見えたのは18禁コーナー。
まさか、、、。
一也「お母さん?まさか、、これを見させようとしてるの?」
八千代「、、そうよ?」
一也「なんでよ!?」
八千代「あんたこれを見て勉強しなさい!」
一也「せめて選ぶならお母さんがしてよ!」
八千代「あんたに選ばせなきゃでしょ!」
一也「僕まだ17だよ!?」
八千代「あ、、、」
お母さんは思い出したかのように言った。
八千代「そうだった、、、」
なんだか、笑えてきちゃった。
自分の息子の歳も忘れて、ここまで来ちゃったんだと思ったら。
笑いたくないけど笑っちゃう。
一也「お母さんバカだ!ハハ!」
八千代「シィー!あまり大きい声出さないの!」
一也「ふふっ」
八千代「しょうがないからあんたは好きなの選んでな」
一也「え?」
八千代「お母さんが選んどくから」
一也「借りるんかぃ!!」
と、結局5、6本借りてもらったという。
まぁいけないことなんだけど。
レジの時は何となく恥ずかしかった。
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