鬼社長のお気に入り!?
 リングが並んでいるショーケースを覗き込みながら、可愛らしい女性と二人で楽しそうにしている桐生さんがいた。リングを試着しながら女性は時折はにかんで幸せいっぱいの笑顔を振りまいている。


 そうだ……桐生さん、結婚するんだっけ――? きっと婚約指輪を選びに来てるんだ。


 失恋の傷口が再び疼きだしそうになる。すべてもう過去のものとして忘れたつもりだったのに。


「っ!?」


 すると桐生さんが顔をあげて、一瞬私と目が合いそうになる。


 私は反射的に背を向けて、結局店には入らずにそのまま小走りに駅に向かった。

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