鬼社長のお気に入り!?
 時間を見るとちょうど三十分経ったところだった。とりあえず五分間休憩を入れ、肩の力を抜いた学生さんたちがざわざわとしだす中、出入り口のところで腕を組んで壁にもたれかかっている八神さんを見つけた。


「八神さん!」


「無事に粘りきったみたいだな」


 八神さんが手に持っているものは本来私がコピーしなくてはならなかった学生さんたちへの資料だった。


「よかった……無事に出来上がったんですね」


「俺の出番なくていいか?」


「ええっ!? だって、みなさん八神さんのお話を聞きに来てるんですよ?」


「俺はお前のデザイン史のほうがよっぽど面白かったと思うけどな」


 そう言って八神さんはニヤリと笑う。


 え? 面白かった……って? ま、まさか――。


「私の話しを聞いてたんですか!?」


「途中からだ。案外早めに原稿を仕上げられたからな」


 くぅぅ~!! だったら話しなんか聞いてないで時間巻いてくれればよかったのにぃ~。


「ほら、ブサイク顔してないで全部これ配れ」


「あ、はい!」


 ドサッと両手に資料を乗せられ、私は今度こそ慎重に学生さんたちへ資料を配った。
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