鬼社長のお気に入り!?
「クライアントの上司がお気に召さないんだと」


「私は……こういう形のものもありだと思いますよ、幅も取らなさそうですし」


「まぁ、お前の言う通り収納にも便利なものをと思って考えたんだけどな」


 確かエイレックの上層部の人たちは年配者が多かったはずだ。もしかしたら、八神さんの考えたデザインが年寄りには斬新過ぎるのかもしれない。


「あの会社の上層部の人たちのことは知ってます。ほとんどの役員は年配の方ばかりなんですよ、あ、そうだ! 多少アナログな部分も残しつつ、若者にも受け入れられるようなスタイリッシュなデザインなんてどうですかね? 難しいですけど……」


「ふぅん、アナログな部分ね……」


 お、なんか私の頭の中にいいアイデアが湧いてきたぞ……。八神さんの考えたデザインを元に私の頭の中の白紙にすらすらとデッサンが描き上がる。


「そう、例えば……ですね」


 私はつい夢中になって八神さんの隣に腰を下ろして自分のアイデアをあれこれと話す。八神さんとぴったり寄り添っている体勢であることにも気づかずに。
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