鬼社長のお気に入り!?
 けれど、そんな私の話しを八神さんは顎を親指と人差し指で軽く挟みながら時折頷いて珍しく真剣に聞いていた。


「なるほどな……いいアイデアかもしれない」


「すみません、なんか出しゃばってしまって……」


「いや、ぶっちゃけ時間がないんだ。プライドがどうのこうの言ってる場合じゃない」


 案外潔いいところもあるのね……って――!


「っ!?」


 私は八神さんにまるで恋人のようにくっついていたことに気がついて思わずはっとなった。けれど、八神さんの私を見る真摯な眼差しに飛び退くこともできずに固まってしまう。


「や、がみ……さん?」


 ドクンドクンと心臓が大きく波打っているのがわかる。


「お前は本当に変な女だ」


「え……? っ、ンッ」


 八神さんが私の腕をぐっと引っ張り顎を捉えた瞬間、唇に温かなものが触れた。ほんの一瞬だけ。
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