鬼社長のお気に入り!?
 桐生電機に入社が決まったと同時にここ、吉祥寺へ引っ越してきた。煉瓦造りでモダンな外観が気に入って、間取りもそこそこ一人暮らしにしては贅沢な2LDKだ。けれど、キッチンはあるものの、実際自炊はほとんどやらない。私は恋をしている割にはあまり女子力は高い方ではなかった。


「あのさ、もう少しだけでいいんだけど、ちょっと話できない?」


 車が停まって私がお礼を行ったあと、引き止めるように桐生さんに手を掴まれた。


「え……?」


 な、なに? このシュチュエーション!! これはまるで――。


 つい衝動的に腕を掴んでしまった気まずさか、桐生さんが目を泳がせている。
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