鬼社長のお気に入り!?
「そうだ、この後時間あるかな? よかったら一緒に食事にでも行かない?」


 桐生さんはそう言って私の腕を無理やり掴んだ。こうなってしまっては走って逃げることすらできない。


「今度さ、ようやく新規で商品を企画するプロジェクトが始まったんだ、そこでどうしても一旗あげたい、杉野さんの力を貸して欲しいんだよ、ね?」


「は、なしてください」


 一瞬でもこの男を好きになった自分が愚かだ。こんなみっともない姿で私に縋り付くなんて――。


「お断りします。私には、もう居場所があるんです」


「ふふ……なんだよ、それ……君の居場所ってジークスの事?」


「そうです。申し訳ないですけど」


 私は呆然としている桐生さんの隙をついて思い切り掴まれた腕を振り払った。
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