鬼社長のお気に入り!?
「ちょっと、今夜は忙しくて……あ! そうだ! 今の仕事の納品日が実は明日なんすよ、だから時間の都合つかないと思いま――」


「お前の今の任されてる仕事って、あの冷凍食品のパッケージデザインの会社だろ? あそこはいつも納品期限を短めに言ってくるとこだ。多少伸びても問題はない」


 そう言いますがね……。って、八神さんの目が怖い――!!


「わかりました。用意しておきます」


 結局、私はなし崩しに八神さんの申し入れを受け入れてしまった。私の中では、あの時のキスと婚約者のことでまだモヤモヤしたものが燻っているというのに、なにもなかったことになってる気がしてまたモヤモヤしてしまう。これではモヤモヤの無限ループだ。それに、前に八神さんの車の中で拾ったダイヤのピアスももしかしたら婚約者のものかもしれない。だとしたら早々に返さなくては――。


「そういえば、先ほど八神さん宛に飯田様という方からお電話がありましたよ」


「あぁ、もうその件については片付いた」


「そう、ですか」


 今、八神さんと話してた人ってさっきの飯田さんかな……? ってことは、今夜八時に来る人って……。


 電話があったことだけを伝えると、今夜の八時が悪夢の時間のように思えてきた。
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