鬼社長のお気に入り!?
※ ※ ※



 仕事を無理やり終わらせ、八神さんから鍵を預かって今私はひとりで八神さんの自宅キッチンにいる。モノトーンの部屋の内装が無機質過ぎて切なさを煽る。


 ちょうどあと数十分もすればその“来客”とやらがここに来る。伊勢うどんは簡単にできてしまうため、私は出来上がったうどんを眺めながら時間を持て余していた。


 なんで私がこんな使用人みたいなことしなきゃいけないのさ……。そうだ! ハバネロでも入れてやろうかな……って、出来るわけないけどね――。


 そんな虚しいことを考えていると不思議と泣けてきた。


 きっと私は八神さんに惹かれ始めてる……。でも救いようのない恋だなんて……ひどすぎる。目の前の伊勢うどんがぼうっと霞んでくる。これを一緒に食べるのは私じゃない。


 だめだ。ここにいると色々考えちゃって……置き手紙して帰ろう。
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