鬼社長のお気に入り!?
 美智に案内されて桐生さんのいる場所まで連れてこられると、まだこちらの存在に気がついていない桐生さんがノートパソコンを目の前に誰かと電話をしている最中だった。


「あぁ、社名も修正したし、抜かりないよ。これさえうまくいけばうちの会社もなんとか持ちこたえる、あぁ……わかってる。じゃ、発表を楽しみにしててよ」


 誰と話してるんだろう。もしかして桐生社長と――?


 すると桐生さんが私たちの気配に気づいて振り向いた。


「お疲れ様です。桐生さん、今日一日バイトの子連れてきました。でもちょっと風邪ひいてるみたいで声が出ないんですって」


「え? そうなの? そんな具合悪いのに大丈夫?」


 私は無言でこくりと頷いた。


 前に会った時はやつれて、イケメン上司の見る影もなかったが、いまもたいして変わらずだった。髪の毛には苦労の証拠なのか所々に白髪が目立つ。


「キリコちゃんの仕事は、来場者に配るチラシなんだけど……あ、これこれ」


 桐生さんが体勢をずらした瞬間、パソコンに映し出されている画面を見て私は思わず凍りついた。
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