鬼社長のお気に入り!?
※ ※ ※


「愛理、大丈夫? きつくない?」


「う、うん。大丈夫だよ、でもちょっと動きにくいかな」


 関係者控え室で私は着ぐるみに着替えさせられ、とりあえず貴重品は着ぐるみ内にあるポケットに入れておくことにした。


 着ぐるみとはいえ、指先は動かせるように少し生地が薄めに作ってあるから何かを掴んだり持ったりすることは可能だ。


「一応、桐生さんにバイトの子が来たら挨拶に来るように言われてたんだけど、着ぐるみ着たままあんたバイトの子の振りしてて」


「え? だって、話しかけられたらどうするの? 声でバレない?」


「大丈夫、そこはなんとかするから」


 これから桐生さんに会いにいくんだ。でもいまの私はキリコになってるから喋らなければ大丈夫だよね……?


 ドキドキと緊張が高まって息苦しい。視界も狭くて今にも足が絡まって転んでしまいそうになる。
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