鬼社長のお気に入り!?
「あぁ、本当にすみません、立てますか?」


「いったた……はい、大丈夫です」


 体勢を整えようと私の手を取るその人物を見て私は思わずぎょっとした。


 や、八神さん!? どうしてこんなところに――!?


 とにかくこんな格好してるのバレたら何言われるかわからないよ……。


 ぺこりと頭を下げて私はそそくさとその場から去ろうとした。が、八神さんの鋭い千里眼はそうはせてくれなかった。


「おい、そこのクマ、待て」


「へ!?」


「杉野だろ、お前そんな格好で何してんだ」


 見ると八神さんは訝しげに目を細めて、腕を組みながら私を見据えていた。


 嘘……!? なんでバレちゃったの? 八神さんっていったい何者――。


 えーっと……どうしよう――!


「うわっ!」


 するとその時、すぽっと着ぐるみの頭を上から持ち上げられ一気に視界が開ける。


「お前、馬鹿にさらに磨きがかかったんじゃないか?」


「えーっとですね、これにはふかーい事情が……」


「愛理ー! もう! 何してんのよ、早くしないと……って、ええっ!? も、もしかして……八神さん?」


 あまりにも遅い私に待ちくたびれた美智がつかつかとやって来て、八神さんを見るなりまるで芸能人にでも遭遇したかのようなリアクションをする。
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