鬼社長のお気に入り!?
 今夜の飲み会に間に合わせるために昼休みも返上し、ようやく終わったのが飲み会の開始時間十分前だった。


 指定された居酒屋までは会社から徒歩で数分のところにあるため、小走りで行けばなんとか間に合う。美智からはなんども「早く」と催促の電話やメールをもらった。ぜいぜい言わせながら道玄坂をあがり、店の中へ入ると作務衣を着た若い女性店員の笑顔で出迎えられた。


「いらっしゃいませ」


「あの……」


 そうだ! 幹事の名前なんだっけ――。


 肝心なことをチェックし忘れていた。私が店の中を見回していると、その女性店員が声をかけてきた。
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