鬼社長のお気に入り!?
 私は昨夜、散々考えた挙句にこの桐生電機を退職することを決意した。


 退職願を書いて、本来でああれば直属の上司である桐生さんに提出するべき所を私は最初に上層部へ提出した。それから社長とも話をつけた。


 ――そうか、それは残念だね。


 社長の言葉はたったそれだけだった。桐生電機にとっては社員がひとり辞めることなど痛くも痒くもないのだろう。それにおそらく、私が今まで残してきた実績も上の人たちは知らないのではないかと思う。桐生さんが話をしないから。だから、私はさほど功績のある社員だと思われていないのかもしれない。だったら去る者追わずで辞めるには都合がいい。いまさら引き止められても困る。
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