鬼社長のお気に入り!?
「杉野さん!!」


 人事部へ向かう途中、桐生さんが血相を変えて走り寄ってきた。


「ど、どういう……ことか説明してくれないかな? 会社辞めるって、嘘だよね?」


 両手を両膝について乱れた息を整えながら言うと、桐生さんはゴクリと息を呑んだ。


「本当ですよ、私……前から考えてたんです。もっと自分の可能性を試したいって、そのためには、ここの会社じゃ無理だって」


「そんな勝手なことは許さないよ、一体どうしたっていうんだ」


「……私、今だから言います。桐生さんのこと好きでした。上司として、男の人として」


「だったら――」


「でもそんな気持ちを利用してたのは桐生さんですよね?」


 そういうと桐生さんは言葉に詰まって拳をぐっと握り締めた。
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