1人ぼっちと1匹オオカミ(上)

 そんなこそこそとした話し声を聞きながら教室までたどり着くと、ドアを開ける。
 私が教室に1歩入った瞬間、クラスから話し声が消える。

 そりゃ、そうですよね。
 雷斗くんによもちゃんと呼ばれ、普段ほどんど口を聞かない神野くんが後を追いかけた。

 気にならないはずがない。

 自分の席に着くと、持ってきた本を読むふりをする。
 ただ座っているだけの状態になるのは嫌だった。

「ねぇ、晴野さん」

「ッ…」

 顔を上げれば、クラスでも気の強い女子が3人、私の前にいた。
 化粧が厚すぎて、首元と顔の肌の色が全然違う。目元なんてパンダさんですか。

 彼女たちが近寄ってきた瞬間に、鼻をかすめたのはきつい香水の匂い。

 う、時々感じていた教室の異臭はあなた方でしたか…。

 他のクラスメイトはその様子を、固唾を飲んで見守っている。
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