未来の1/fragment
キンコンカンコーン♪
授業が終わり、一斉に席を立つ中、堀澤はじっと後ろの席から夏海を見ていた。
リュックを背負う夏海に、堀澤は声を掛ける。
「坂尻‼︎」
名前を呼ばれ、後ろを振り向く夏海は「ん?」と返事をする。
「あのさ…」
何かを言いかけたところで、誰かに視線を向けられている気がして、ふと振り返ると、1番恥の席から丸林が堀澤に冷たい視線を向けていた。
「何?何か言いたいことでもあるの?」
「あっいや、何でもない」
堀澤は咄嗟にそう言い、夏海は首を傾げ、そばにいた真弥とさやかに「帰ろ」と一言声をかけた。
堀澤の横を通り過ぎる時に、夏海は手を上げた。
「じゃあ、また明日‼︎」
いつものように挨拶をして教室を出て行った。