追憶の彼方に

✩✩悲しみ


私は、やっとの思いで‥‥‥‥

「お母さん、波瑠は‥はるは、
      結婚したのですか?」
と、訊ねた。

すると、
「やはり、一華ちゃん·····
知らなかったのね。

大学三年の時に、同じ大学の子を
妊娠させて籍をいれたの。
女の子が、生まれたみたいよ。

私も、お父さんも、認める気がなくて
波瑠にも、お嫁さんにも子供にも
会ってないの。

波瑠は、責任をとったみたい。

私達は·····子供は····居なかった‥‥‥
そう、思うことにしたの。」
と、辛そうだった。

お父さんは、顔を歪めていた。

私は、ショックだった‥‥‥
あの人かな‥‥と、考えてた。

お父さん達と、
どうやってわかれたか、
覚えていないが

お母さんに、
「一華ちゃんの事を
私達は、娘だと思っているから
また、会ってね。」
と、約束したことは覚えてる。

後少しで、マンションなのに
涙を我慢することが
出来なかった。

マンションの前に
結城課長がいて、
私の顔をみて、
私を抱き締めた。

私は、結城課長の腕の中で
しばらく泣き続けた。
私が、落ち着くと
結城課長は、私を車に乗せて
自分のマンションへ連れて行った。

「今、逢澤さんを一人にしたくないから
ごめん、無理矢理。
なにもしないから、
今日は、俺の目の届く所にいて。」と

「すみません。
今日だけ、甘えさせて下さい。」
と、言った。

課長は、食事を作ってくれて
客室に泊めてくれた。

着替えがないから、
課長のをかりて
下着はないので我慢した。

課長の家は、3DKと広い間取りだった。
私は、一睡も出来ずに朝を迎えた。
< 10 / 71 >

この作品をシェア

pagetop