柴犬主任の可愛い人
中止になった理由は、男性陣のひとりがお目当てだった女の人に彼氏が出来て、デートがあるからバーベキューには行けないと申告をしてきたのだそう。そうしたら、他の女性陣がも芋づる式に不参加を表明し、ならば暑い中バーベキューはしなくてもいいやと男性陣も言い出す始末。……まあ、狙ってた女の人に彼氏が出来た当人には同情する。
ガツガツしてて面白い人たちだこと。
「まだ肉の発注してなかったから良かったものの……」
人数も多いことから、亮さんは仕入れ先で注文しようとしてたらしい。危うくお盆休みな伊呂波の冷蔵庫冷凍庫が溢れるところだった、と安心する亮さんは、友達に振り回されてるのに怒らない。広いな、度量が。
「ということは、亮さんがどうしてもバーベキューをしたいと」
あながち間違いないじゃないが正解でもない。らしい。
「でもね、本当はすっごく楽しみにしてて、生物以外は準備万端なのよ、この人」
「華さんも楽しみだったですか?」
先程から華さんは、個室や玄関の外にある花を手直ししながら忙しそうだ。高校時代から結婚されるまで生け花を習っていたらしいその腕前は、ど素人がいうのもなんだけど綺麗に生けてあるなあと見惚れる。華さんは、お嬢様だったのかもしれない。私の習い事など、近所の公文式と古風な算盤だ。
まさか、と華さんが首を大きく横に振る。なんか、こんなにも打ち解けてもらえて、仲良くなれて嬉しいな。お姉ちゃん欲しかったから義理姉に続いて二人目ゲット。華さんは、今日のお着物もなんかよくわからないけどお素敵だ。髪を纏めていて見えるうなじは色っぽくて。……なんで男性目線なのかは不明だけどついつい見てしまう。
「真夏の炎天下。川の側だけど暑いものは暑いし日焼けしちゃうわ」
「テント張ってるだろ。いつも」
「そうっ。季節問わず行ってるのよ、青葉ちゃん。だから夏は勘弁してほしいものだわ」
「はははははー」
華さんからは見えないように亮さんが拗ねた表情するものだから、どちらにも大きく賛同出来ず乾いた笑いを漏らした。