特ダネには真実を
軽く笑う潮だが、ファイルの中の資料を見ればかなりの無茶をしてきたのは見てとれる。


マル秘扱いのものばかりだからだ。



「それ、薇晋さんに預けます。」


「え?だが…」



「警察にあった方が何かと便利でしょ。担当の薇晋さんのとこなら尚更。」


「南能…」



後生大事に持っていたであろう資料を、ウインク付であっさり渡す潮。



「嚇止くん、何か掴んだみたいで。あの日の昼間、電話があったんですよ、誰かに会いに行くって。でも、場所は言ってたけど誰と会うかは言わなかったし、私は取材の約束あって行くのが遅くなって…」


「だからあんな時間にいたのか。」



秀滝の疑問がやっと解けた。



「でも、なんで俺だったんだ?花持たせたいなら、囃噺の方が良かったんじゃないか?」


「それは………じ、事件といえば先輩だと思ったからです。それに、囃噺さんなら自分で特ダネ掴みますよ。うだつが上がらない先輩を見ていると、後輩としては心配なんですよー」


「南能は先輩思いだなぁ~。良かったじゃん、秀滝!」



後半はいつもの軽口に戻った潮と、完全に馬鹿にしている囃噺に、怒りで顔が引き攣る秀滝であった。
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